Vivian Maierを探して
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こんにちは、dropの布施です。
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「Vivian Maier」という写真家をとあるドキュメンタリー映画で知りました。
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全くの無名のままその生涯を終えた彼女の人生。
撮影された150,000枚のネガフィルムを残されて、人の写真を見ることも、人に写真を見せることもほとんどなかったようです。
マイヤーさんが生きている間、彼女の写真は世に知られることはなく
一度も印刷されることはなかった謎のアマチュア写真家さんなのです。
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そんなマイヤーさんの写真が有名になったのは
2007年にコレクターのジョン・マルーフという青年がマイヤーさんの写真をオークションでいくつか手にいれたのがきっかけなんですって。
インターネットでマイヤーさんの名前を検索しても何も情報がなく、本当に気まぐれで落札したようです。
マルーフ青年がFlickerに共有したマイヤーの写真をブログで紹介するとウイルス感染のように一気に彼女の名前は世界中に広まっていったとのこと。
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マイヤーさんの生涯に関する情報はほとんど残っていません。
友達がいた気配もなく、結婚もしていません。
背がとても高く大柄で、手を振って軍隊のような歩き方をする。
わざとフランス語訛りの英語を話し、出生地や家族については絶対に明かさなかったといいます。
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乳母のお仕事をしつつ、カメラで写真を撮っていて
休日にはたいていはローライフレックスのカメラを持って、シカゴの通りを散歩しながら写真を撮っていたそう。
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彼女は荷物を雇用主に預けていましたが、その分量が凄まじかったといいます。
モノを捨てることが出来なかった性格で、持ち物は200箱分もありました。
その大半は写真かネガでしたが、ほかに彼女は新聞、靴、服なども捨てずに集めていたようです。
新聞は天井に届くぐらいの分量。
彼女が撮影した人たちと会話したときの録音テープなんかも大量にあったようです。
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そんなミステリアスなマイヤーさんに興味がそそられて。
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どうしてこんなに完璧な構図とタイミングで撮れるのでしょうか。
どこかユーモアがあふれていて、にやりとさせられるものがあり、どれも「決定的瞬間」と言えるものばかりです。
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さらに驚くべきことに、彼女の写真にはほとんど同じカットがないのです。
同じ場所で何枚か撮っては次に行くというのではなく、ある場所で1枚撮って次に移動、ということを繰り返していたようなのです。
しかもマイヤーさんが撮っていたのはフィルム写真です。
現像してみるまで何がどう写ったかはわからないのに、です。
貴重なフィルムだから1枚しか撮らないという理屈も分かりますが、良いシーンに出会えたら念のため何枚か撮っておくというのが普通だと思います。
いかに1枚1枚を大切に撮っていたのかがわかるエピソードです。あっぱれ。
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年齢を重ねるにつれてどんどん偏屈化して、狂気じみていったマイヤーさん。
彼女の気性は非常に激しく、近隣とのトラブルや常軌を逸した行為がより目立つようになり乳母の仕事も減って貧しい生活をおくることに。
きっと若い時は魅力的な女性だったはずなのに。
背景を知れば知るほどほんとうに不思議なひとです。
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