みどり。
こんにちは、dropの染矢です。
鮮やかな木々の緑
もくもくと浮かぶ白い入道雲
目が覚めるような青い空
この3色はとても夏を感じさせてくれるな、と思いませんか?
そこで今日は、そのひとつ”緑”に注目して
1冊の本を紹介いたします◎
「愛なき世界 / 三浦しをん」
とある大学院で植物の研究をする本村さん。
その大学近くのレストランで働く藤丸くんは、ひょんなことから本村さんのことが気になり始めるのですが
本村さんは研究にしか目がなく、恋愛には興味がゼロ。
と、ここまでのあらすじを聞くと、恋愛が軸の小説のように思えますよね。
たしかに、恋模様も描かれていますが
本村さんが一途に研究する「植物」がこの小説の鍵となります。
植物は人間と違って心臓も脳も言葉もない。
だから、自分のためや違う植物のために
「茎をこうやって伸ばしたら光合成ができるな」
「他の葉と重ならないようにしよう」
なんてことは考えられないのです。
それでも、計算しつくされたように
茎は太陽に向かって伸び
葉は交互につけられ
季節が来たらそれぞれの葉や花を咲かせます。
対して、その植物を育て研究するのは
植物にない機能が備わっている人間です。
人間には、自分がいて他人がいて
他者と関わることで、様々な感情が芽生えます。
そして、自分の為だけに傲慢になってしまったり殻に閉じこもってしまったり
でも、誰かのために支えたり、助けたり
お互いの為に話し合えたり
ネガティブな側面もあるけれど
人間にしかできないことも沢山あります。
どちらが良くて、どちらかが悪い
なんてことでは決してなく
人間と植物
その対比こそがこの小説のミソなのです。
その対比を通して
すべての生き物が欠かすことのできない
尊くて愛おしい存在なんだ
とすごく頷かされました。
ほんとうにおすすめの1冊です。
夏休みのおともにいかがでしょうか?
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久しぶりにいい小説に出会えたなと思ったので
熱が入ってしまい、長々と書き連ねてしまいました、、、。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました◎